当ブログ記事は技術士試験の最初に勉強する「3義務2責務」について、その内容や覚え方のコツ、各試験で重要な事についてまとめています。
技術士倫理に関するブログ記事を下記リンク先にまとめてみました。
倫理に関する対策学習はこちらのページをブックマークしておけば時短できます。
→ 技術士倫理の総まとめ【一次・二次・口頭試験の重要ポイントも】
技術士 3義務2責務について
3義務2責務とは技術士が果たすべき3つの義務と2つの責務のことを言います。
技術士試験の最初の関門となる一次試験の適正科目において必ず出題されるため学習が必要です。
具体的にはこの5つ(上から3つが義務、残り2つが責務)です。
- 信用失墜行為の禁止
- 秘密保持義務
- 名称表示の場合の義務
- 公益確保の責務
- 資質向上の責務
この 3義務2責務は
「技術士とはどうあるべきか」
について定めています。
そのため学習に取り掛かる前によく意味を理解しておき、
「自分が技術士になる」
という自覚を高めておきましょう。
実際にどのように試験問題で出題されるの?
先にどんな風に出題されるのか見てみたい
という部分が気になる人は、こちらのブログ記事にて適性科目の勉強におすすめの参考書を紹介しています。
こちらで過去問を確認しながら学習スタートしてください。
→ 技術士一次試験 基礎・適性科目おすすめ参考書【1冊でOK】
一次試験の3義務2責務【覚え方のコツ】
最初に一次試験の学習に際して「すべて覚えられるかな」と不安に思う人もいると思います。
そこで3義務2責務の覚え方のコツ、考え方について紹介します。
こちらのブログ記事では一次試験に必要な試験対策について3義務2責務以外についても網羅しています。
→【独学者は必見】技術士一次試験対策 総まとめ
“文言を丸暗記” してもあまり意味がない
先ず “ただの文章” として「丸暗記」してもあまり意味がありませんし効率的ではありません。
何より丸暗記するのって苦痛ですよね。。
私も理系人間なので丸暗記は昔から苦手です。
そこで私のおすすめする覚え方のコツ、考え方は「まず意味を理解する」ことで内容を理解した状況にすることです。
この3つの義務と2つの責務は技術士になるための心構え、言うなればルールのようなものです。
野球するときに「スリーアウトでチェンジ、9回裏まで」、サッカーで「手でボール触ったらファールでフリーキック」とか、事前にルールブックを読んで覚えようと何日も勉強しないですよね?
(審判になりたい、という人はちゃんと勉強が必要です)
技術士として活動することを念頭に、そのルールを「覚えるというよりも意味を理解して身に付ける」ことを念頭におきましょう。
皆さんは技術士になろうとしているので試験勉強を進めながら「技術士としての心構え」を把握しましょう。
3義務2責務を自分の言葉にして理解する
3義務2責務の文言をそのまま覚えるのではなく、いったん自分の言葉で置き換えて理解しておきましょう。
ちなみに私の言葉で置き換えてみます。
「ニュアンスが違う!!」
という御方はご自分で覚えやすい&適切な表現にしてください。
- 信用を失うような行為をしない
- 業務上の秘密を守る
- 名前や部門を表示する
- 社会の利益を確保しなければいけない
- 勉強して向上しなければいけない
どうでしょうか、ルールとして覚えるにはかなり簡単な項目ではないでしょうか?
先にこの「自分の言葉で理解する」ことが実は後々の口頭試験で重要になってきます。
まずはこのように自分の言葉で5つのルールを理解しましょう。
そのうえで実際の技術士試験のために技術士法に掛かれた正式な文言を読んで覚えると、自然と記憶が連想して難しい言葉が思い浮かべられるようになります。
それではひとつ一つの義務、責務について、文言と共に紹介していきます。
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信用失墜行為の禁止
信用失墜行為の禁止の義務です。
技術士法にこのように定められています。
第四十四条 技術士又は技術士補は、技術士若しくは技術士補の信用を傷つけ、又は技術士及び技術士補全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
技術士法 第四章 技術士等の義務
簡単に言うと「技術士として信用を失うような行為をしない」という意味です。
技術士を名乗ることは”信用の証”です。
だから社会にてその技術士全体の信用を失墜するような行為をしてはいけない、ということです。
秘密保持義務
秘密保持の義務です。
技術士法にこのように定められています。
第四十五条 技術士又は技術士補は、正当の理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。技術士又は技術士補でなくなった後においても、同様とする。
技術士法 第四章 技術士等の義務
簡単に言うと「業務上の秘密を守る」という意味です。
技術士としての活動で知った企業の機密情報や専門技術などを他者へ口外したり、公表したりしてはならない、ということです。
エンジニアとしてだけでなく会社員としても「会社にて守秘義務を順守する必要性」について、会社から指導されていると思います。
会社と同様に技術士としても同様に守秘義務があります。
名称表示の場合の義務
名称表示の義務です。
技術士法にこのように定められています。
第四十六条 技術士は、その業務に関して技術士の名称を表示するときは、その登録を受けた技術部門を明示してするものとし、登録を受けていない技術部門を表示してはならない。
技術士法 第四章 技術士等の義務
簡単に言うと「技術士として活動する時に名称を表示する際、自分の技術部門を表示する」という意味です。
自分の専門分野を相手にわかってもらった上で業務対応をする必要があります。
また登録と異なる技術部門を表示することも禁止されています。
公益確保の責務
公益確保の責務です。
技術士法にこのように定められています。
第四十五条の二 技術士又は技術士補は、その業務を行うに当たつては、公共の安全、環境の保全その他の公益を害することのないよう努めなければならない。
技術士法 第四章 技術士等の義務
簡単に言うと「社会の利益や安全、環境を確保しなければいけない」という意味です。
技術士は業務にあたって安全や環境を脅かすようなことが無いように努めなければいけません。
ここでよく問われるのが安全/環境に対する利益相反の問題です。
企業におけるエンジニアの活動も同じだと思いますが、このようなことがよくあると思います。
- 環境負荷物質を使用するとコストが安くなる
- エリアセンサや防御柵、設備カバーなど 安全対策をするとコストアップとなる
このような場合、目先の利益重視で安全や環境を脅かす選択をしてはならないという意味です。
ちなみに「公益」という単語の意味ですが、「社会全般の利益、公共の利益」という意味です。
資質向上の責務
資質向上の責務です。
技術士法にこのように定められています。
第四十七条の二 技術士は、常に、その業務に関して有する知識及び技能の水準を向上させ、その他その資質の向上を図るよう努めなければならない。
技術士法 第四章 技術士等の義務
簡単に言うと「技術士は勉強して向上しなければいけない」という意味です。
つまり技術士になっても学習は終わりではないという事ですね。
技術士となってからも学習や自己研鑽が必要である、という事を技術士の責務として明確にしています。
エンジニアの方は日常のいろいろな技術業務を通しても充分に研鑽を積めると思います。
日常業務における疑問点や知識をもう少し踏み込んで調べてみるだけでも、自分の見識がさらに広がっていくので、そのような習慣、意識を持っておくことが必要です。
3義務2責務と関連させて技術士倫理綱領を理解しておこう
3義務2責務は説明したように技術士として果たすべき3つの義務と2つの責務について述べています。
技術士倫理綱領は3義務2責務の内容をさらに具体的な行動指針に落とし込んだものと考えてください。
倫理綱領は10項目があり各項目を読んでみると、それぞれが3義務2責務のどれかに包含されていることがわかります。
→ 技術士倫理綱領は3義務2責務と一緒に関連させて理解しよう
口頭試験における3義務2責務【押さえておくべき大事なこと】
一次試験における筆記テストでは文章の丸暗記でも乗り切れるかもしれません。
一方で二次試験の口頭試験では面接で質問されながら
「意味を理解しているか」
「自分の考えとしてどう思うか」
について聞かれます。
“あなたはどう思うか”について聞かれることが多い
口頭試験では3義務2責務について覚えているかどうかの質問があります。
「公益確保の責務について答えてください」
というストレートな質問であれば、暗記で乗り切れるかもしれません。
一方でこのような質問がきた場合に答えに気を付けなければいけません。
- 「会社の方針やプロジェクトが公益に反する可能性がある場合、あなたならどうしますか?」
- 「業務の依頼主から自分のコンサルタント先の機密情報の提供を求められたらどうしますか?」
- 「最近のニュースやできごとについて例を挙げて技術士として思うところについて答えてください」
このような質問は、質問を通して「技術士としての倫理観や考え」を問われていることを意識しなければいけません。
3義務2責務の考えを持っているかについて、直接ではなく間接的に確認する意図をもって質問されています。
質問を通して”技術士の資質を問われている” ことを忘れない
このような質問に対して「自分が技術士として行動すること、考えること」をイメージして回答することが非常に重要です。
ただ単純に3義務2責務を覚えている、暗記しているだけではダメで、根底に3義務2責務の考えが定着しているかどうか見られています。
技術士としての倫理感、使命感を持って活動できる人間かどうか見られていることを念頭におきましょう。
実例を挙げて考えてみます。
「会社の方針やプロジェクトが公益に反する可能性がある場合、あなたならどうしますか?」
という質問に対して、
「公益に反する可能性があるならばそれを抗議します、それでも聞いてくれなければ内部告発の手段を取ります」
ではダメです。
技術士として倫理観を持っているように見えますが、技術士として「課題を解決する思考」になっていません。
この様な場合の回答例として、
「まずプロジェクトにおいて、どの部分が、どの程度、公益に反する可能性があるか確認します。そして事実関係や現時点でわかっている可能性について、上司に報告します。もしも将来そのまま公益に反する状況になってしまった場合にプロジェクトや会社にとって大きな不利益となってしまう事について共有します」
このように「倫理観で課題を突き放す」のではなく「倫理感を持ちながら問題を解決する」ことを心がけましょう。
口頭試験においては、技術士が守らなければいけない3義務2責務ついて「自分のものとして理解しているか」について問われます。
口頭試験の試験日までに「3義務2責務」についてスラスラと言えるようにするためにも、一次試験対策として余裕をもってしっかりと意味を理解して学習しておけば、口頭試験前に参考書を見直す程度で思い出すことができるので効率的です。
3義務2責務には罰則があることも覚えておこう
3義務2責務には守れなかったときの罰則があることを覚えておきましょう。
技術士登録の取り消しまたは 2 年以内の名称使用停止(技術士法第 36 条の 2)、さらに秘密保持義務に違反して告訴された場合は、1 年以下の懲役または50 万円以下の罰金(技術士法第 59 条)が科せられます。
技術士倫理に関するブログ記事を下記リンク先にまとめてみました。
倫理に関する対策学習はこちらのページをブックマークしておけば時短できます。
→ 技術士倫理の総まとめ【一次・二次・口頭試験の重要ポイントも】
義務と責務の違い
「義務」と「責務」の言葉の意味の違いについて、似ているので覚えにくいですよね。
この違いも最初に言葉の意味を押さえておけば覚えやすいです。
義務は「しなければならない事」や、その反対の「してはいけない事」です。
責務はこの義務の意味に加えて「責任を負うことが要求される」という意味です。
技術士 3義務2責務について【まとめ】
重要なので長くなりましたが3義務2責務についての説明と覚え方についてでした。
特にそれぞれの言葉の意味を理解することによって記憶に定着させることができ、自分の言葉で話すことができるようになります。
技術士一次試験の適正科目の学習開始から意識しておけば口頭試験までには自然に頭に入っている状況になっていると思います。
まずは3義務2責務の考え方、技術士に求められる倫理観について理解することに勤めましょう。
こちらで適性科目の勉強におすすめの参考書を紹介しています。
今回のブログ記事の内容が頭に入ったところで忘れないうちに学習スタートしましょう。
→ 技術士一次試験 基礎・適性科目おすすめ参考書【1冊でOK】
参考書だけでは不安な人は、こちらの通信教育を始めることをおすすめします。
このJTEXの通信教育に比較的安価な基礎・適性科目コースがあるのでおすすめです。
詳細はこちらのブログ記事にて紹介していますので、記事を読んで検討してみてください。
→技術士一次試験おすすめの通信教育【学習ペース維持が不安な人へ】
こちらのブログ記事では一次試験に向けて必要な事、対策について網羅しています。
受験を考えている人はぜひ参考にしてください。
→【独学者は必見】技術士一次試験対策 総まとめ
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