当ブログ記事は国家資格である技術士の受験資格と必要な実務経験についてまとめています。
技術士資格試験の受験資格と必要な実務経験
技術士を目指したいけど受験資格はあるの?
実務経験はどのような経験ならOKなの?
技術士試験の受験を考えて調べている中でこのような疑問を持つ人も多いと思います。
当ブログ記事はこれから技術士資格を目指そうと考えている人(迷っている人も)に対して、このような疑問を解消するために書きました。
最初にざっくり結論をまとめておきます。
- 一次試験の受験資格は特になし。
- 二次試験は一次合格から4年以上、あるいは一次試験の前から7年以上の実務経験が必要
- 学歴は関係なし
- 実務経験は「計画・研究・設計・分析・試験・評価・これらに関する指導」に該当するもの
4年あるいは7年の実務経験の部分で混乱する人や実務経験の内容で悩む人も多いので、それぞれの項目で詳細をみていきます。
技術士試験の流れ
実際に技術士になるためにどんな試験に合格する必要があるのか、こちらの図で見てみましょう。
最初の関門として第一次試験があり、合格すると「修習技術者」と呼ばれます。
一次試験に合格した段階で日本技術士会に登録申請すると「技術士補」になることができます。
企業内にて7年を超えるエンジニアの実務経験があれば、すぐに二次試験を目指すことができるため、技術士補への登録申請は不要です。
二次試験は最初に筆記試験、合格すれば口頭試験(面接)を受験することができます。
口頭試験は二次試験の申込時に実務経験証明書と呼ばれる自業務の履歴や詳細について記載したものを提出するのですが、この内容について面接で確認されます。
口頭試験に合格となり、合格証書が届いたら晴れて技術士として登録申請できます。
技術士への最初の登竜門となる一次試験に臨むにあたって必要な事についてこちらのブログ記事にすべて網羅してまとめていますので参考に。
→ 技術士一次試験対策 やること総まとめ【独学者必見】
一次試験の受験資格
一次試験の受験資格は”特に制限なし”
一次試験については年齢、学歴、業務経歴等による制限は特にありません。
よって学生でも在学中に受験することが可能です。
高校生、高専生、大学生でもOKです。
一次試験が免除されることもある
先ほどの図中左上☆部分にあります「指定された教育課程」という部分ですが、大学や高専などにおける教育課程の修了が一次試験合格と同等であるものとして認められている人が当てはまります。
一次試験が免除される条件についてこちらのブログ記事にまとめましたので、受験勉強を開始する前に確認しておきましょう。
→ 技術士 一次試験が免除になる条件 総まとめ
一次試験の出題範囲は大学の授業で勉強する範囲
技術士一次試験の試験の出題範囲は、おおむね大学の授業にて勉強する範囲の出題となっています。
高専・大卒は早い受験が有利
高専や大学を卒業してすぐならば、授業で使用する教科書も持ってます。
なにより授業やテストを受けてから期間が空いていないため、一般の社会人よりも勉強内容が記憶に残っていることでしょう。
一次試験の有利・不利で見ると、卒業から期間が近い方が有利です。
さらに学生であれば社会人よりも時間を有効に活用できることでしょう。
在学中でも一次試験の受験は可能 最年少も目指せます
一次試験は卒業を待たずとも在学中でも受験が可能です。
冒頭の図で説明した流れに実務経験(後述にて説明します)を考慮すると、大学在学中に一次試験に合格しておけば、卒業後4年で二次試験の受験資格を得ることができます。
うまくいけば26歳で技術士になれる計算ですね。すばらしく優秀です。
高専卒、高卒ならそれぞれ24歳、22歳という可能性もあります。
最年少記録が何歳かは聞いたことが無いですが、人生の早い時点で技術士資格を取得できていたらエンジニアとして誇れるアドバンテージになることでしょう。
二次試験の受験資格
二次試験の受験資格については、冒頭の図から下記の3つのルートがあります。
- 技術士補となり指導技術士のもとで4年の実務経験
- 修習技術者になってから職務上の監督者のもとで4年の実務経験
- 7年を超える実務経験(修習技術者になる前の期間も算入可)
いずれにしても “実務経験” が必要です。
技術士補についてはこちらのブログ記事に紹介していますので参考にしてください。
→ 技術士補とは通過点 修習技術者、JABEE認定者は技術士を目指そう
二次試験には実務経験が必要
一次試験を合格してから4年の実務経験、或いは今までの7年の実務経験を経ている場合、二次試験を受験することができます。
この受験資格の期間について、「どの時点で受験資格を満たしているか」については「受験申込み時点」となっていますので、申込前に必ず確認しておきましょう。
大学院の在籍期間や海外における業務期間も算入できる
実務経験の期間について、大学院の在籍期間や海外における業務期間も算入できます。
一方で海外の大学院の在籍期間は算入できないので注意が必要です。
実務経験とは具体的にどのようなものか
実務経験については「業務経歴に必要な科学技術に関する業務」に従事しているとされています。
どういう内容かといいますと、下記のように定められています。
科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価(補助的業務を除く。)又はこれらに関する指導の業務
日本技術士会Webサイトより引用
これには単純作業やマニュアルに従った業務は含まれません。
自分の業務が「計画、研究、設計、分析、試験、評価、これらに関する指導」に該当している必要があります。
自分の担当業務を一つ上の視点で見てみる
自分の業務が “単純作業だ” と決めつけて諦めてしまう人が多いのですが、もったいないです。
ひとつ上の視点、範囲を広げた視点からもう少し考えてみましょう。
会社員なら自分の担当業務が大きな計画やプロジェクトの局部的な部分という印象を持っている人も多いと思います。
大きな計画の中の自分の担当部分は自分で業務計画の詳細を作成して取り組んでいませんか?
メインの研究・評価分野を複数人で分担して、計画的に担当していませんか?
自分では単純作業、単発作業と感じている業務でも、大きな計画(規模・期間・件数)の中で動いており、また自分の担当範囲は自分で計画を立てて、進捗管理しながら進めている人が多いのではないでしょうか?
「○○というプロジェクトの☐☐の部分を担当しており、その分野を自分で技術的な視点も含めて計画・管理して進めていました」というように説明できれば大丈夫です。
実務経験と受験部門がマッチしていなくてもいい
実務経験の内容は、受験する技術部門や選択科目の内容に限られるといった要件はありません。
必ずしも実務経験と受験部門がマッチしていなくても受験は可能です。
会社員なら配置転換も珍しくないので、これまでやってきた業務といま現在に取り組んでいること、受験したい技術部門について検討しましょう。
二次試験の口頭試験にて必ず聞かれるので、取得する技術部門の専門性と実務経験の関連性についてしっかりと話せる必要があります。
受験部門の選びかたついてはこちらのブログ記事を参考に。
→ 技術士 部門の選び方【部門が選べない人へおすすめ】
学歴は関係なし 高卒でも目指せます
受験資格については学歴は関係ありません。
よく「高卒でも技術士は目指せるのか」と聞かれますがもちろんOK、目指せます。
一次試験では大学授業レベルの専門知識が問われるので勉強が必要です。
社会人で実務経験があれば専門知識や経験が自然に身に付いている人も多いと思います。
経験で身に付いている(無意識に理解している)ことをあらためて勉強してみると「こういう理論で成り立っているんだな」と納得できることも多いです。
高校時代の”受け身授業” の勉強よりも楽しいと感じるはずです。
まずは教科書や参考書で勉強して、もしも厳しければ通信講座を活用しましょう。
参考書についてはこちらのブログ記事で科目別・部門別に紹介しています。
→ 技術士一次・二次試験の参考書【部門別に紹介】
一次試験に必要な事をこちらのブログ記事にすべて網羅していますので参考に。
→ 技術士一次試験対策 やること総まとめ【独学者必見】
年齢上限は “無し” 目指せ生涯エンジニア
技術士のいいところは年齢上限が無いところです。
また受験資格にある実務経験の年数要件から “実務経験” を重視していることも読み取れるように、エンジニアにとって経験にもとづいた知識や判断力は武器となります。
技術士の割合は企業に属する人がもっとも多いのですが、一方で定年までに技術士資格を取得しておけば定年後に自分のペースで起業するといったチャレンジも見えてきます。
生涯エンジニアとして技術士で活動することも可能です。
独立した技術士がどのように仕事をしているか、こちらのブログ記事に紹介していますので参考にしてください。
→ 独立開業した技術士はどのように仕事をしている?【どんな働き方?】
【思い立ったら即行動】気になった今こそベストなタイミング
それでは改めて受験資格と実務経験についてまとめておきます。
- 一次試験の受験資格は特になし。
- 二次試験は一次合格から4年以上、あるいは一次試験の前から7年以上の実務経験が必要
- 学歴は関係なし
- 実務経験は「計画・研究・設計・分析・試験・評価・これらに関する指導」に該当するもの
いま現在の記事を読んでくれている皆様の置かれている状況はさまざまと思います。
- 学生で将来を見据えて資格取得を考えている
- 若手エンジニアで技術士について調べている
- 中年エンジニアで次のスキルやキャリアアップ(←わたしはこのパターンでした)
- 壮年エンジニアで定年や以降のプランを考えている
早い方が、遅い方が、と論じてきましたが「自分にとってベストなタイミング」は、技術士について興味を持って調べている “いま現在” であり、これを実際のアクションに移すことだと思います。
受験資格を満足している人は今後のエンジニアライフ充実のためにもスタートダッシュをおすすめします!!
以上、技術士の受験資格と実務経験についてでした。
参考書についてはこちらのブログ記事で科目別・部門別に紹介しています。
→ 技術士一次・二次試験の参考書【部門別に紹介】
一次試験に必要な事をこちらのブログ記事にすべて網羅していますので参考に。
→ 技術士一次試験対策 やること総まとめ【独学者必見】
技術士資格についてもっと知りたいという人はこちらの記事を参考に情報を集めましょう。
→ 技術士とはどんな資格か【エンジニアなら知っておこう】
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