当ブログ記事では技術士資格のメリットについて書いています。
技術士資格はどんなメリットがあるのか
技術士の資格って「メリットがない」と言われることがあるけど何かメリットあるの?
そのような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
先に結論から話してしまいますと「メリットあります!」
技術士という資格は “信頼の証” です。
その信頼が故に技術士資格を持つことはメリットが大きいです。
以下、その根拠についてまとめてます。
技術士のメリット
まずは技術士のメリットについて整理してみます。
- 建設・土木など建設業界においてメリットがある
- 他の資格試験において受験免除になる科目がある
- 日本が認めたエンジニアとしての信用を得ることができる
- 社内での昇進、昇格、昇給に有利
- 転職に有利
- 独立、起業も可能 定年後に自分のペースで仕事ができる
建設業界の必要性や他の資格試験の受験時の免除科目については “実質的なメリット” です。
この実質的なメリットに加えて “エンジニアとしての信用” によるメリット、およびこの信頼性が波及するメリットが有益なんです。
それでは一つづつ内容について見ていきましょう。
技術士補の資格にメリットはあるのか?
技術士補についてはこちらのブログ記事で説明していますが、実質的なメリットが少ないので技術士を目指すことをおすすめします。
→ 技術士補とは通過点 修習技術者、JABEE認定者は技術士を目指そう
一方で就職を備えた学生において「将来的に実務経験を経て技術士になるため、技術士補を取得した(目指している)」といったような人なら、アピールになるはずです。
私が理系の採用担当者なら「おっイイね」と感じます。
建設・土木など建設業界におけるメリット【建設部門の技術士が多い理由】
建設、土木、水道など主に建設業界における技術士部門の人にとって一番大きく関係する面です。
建設業界においては、下記のように技術士資格のメリットがあります。
- 公共事業を入札する際の評価項目に技術士の人数がある
- 建設コンサルタントとして登録する際に該当する技術士が居る必要がある
- 一定レベルの仕事を受注する際に配置する必要がある監理技術者として一級国家資格が必要(技術士資格にて代替が可能)
公共事業の入札に有利
公共事業の入札に際して技術士資格の取得者の人数が審査の項目となっているためです。
建設コンサルタントとして会社を登録する場合、社内に技術士が必要
建設コンサルタント業として会社を登録する際に技術士を配することが規定されています。
登録する分野についても技術士の技術分野(建築、土木など)が決められており、コンサルタント業務分野を広げようとすれば対応する技術分野の技術士資格を持った人が必要とされます。
監理技術者として配置するために技術士資格が必要
建設業者が4000万円以上となる工事を請け負う際に、当該現場に技術者を配置する必要があります。
この技術者は分野によって異なるのですが一級国家資格(一級建築士、一級施工管理技士など)の保持者或いは技術士となっています。
建設業法で決められているので、4000万円を超えるような大きな工事を受注しようとするならば会社として守らなければならない部分です。
“会社にとってメリットがある” →会社が技術士の資格取得を奨励している
建設業界に関連した上記のようなメリットは技術士本人よりも技術士資格を持った人が社内にいる場合に、”その企業にとって”メリットがあると言えます。
そのため関連する企業においては技術士の資格取得を積極的に奨励していることが多いです。
資格奨励金の支給や資格手当、昇格・昇給の優遇など資格取得者への優遇がある場合も多いです。
後述しますが転職に有利といった面においても、技術士資格を持っていれば該当する企業に転職・入社しやすい、好条件を導きやすいと言えます。
また技術士資格を持った本人にとっても公共事業や大きいプロジェクトに監理技術者や専任者として配置されるため、実績による昇格や本人のやりがいにおいてメリットがあると言えます。
他の資格試験におけるメリット【受験免除となる科目がある】
これはあまりよく知られていませんが、実は技術士資格を持っていると
「国家認定された高度の技術者である」
として、各種資格試験等で資格試験の一部または全部を免除される特典があります。
具体的にどのような特典(免除など)があるのかについて、こちらのWebサイトで確認してください。
→ 日本技術士会Webサイトへ
比較的有名どころの資格としては、下記が挙げられます。
(実際の受験を検討する人は必ず詳細をWebサイトで確認してください)
- 中小企業診断士(経営情報システム科目の免除)
- 弁理士(一部選択科目の免除)
- ボイラー・タービン主任技術者(試験の免除、実務経験要)
- 土木施工管理技士1級・2級(学科試験の免除、実務経験要)
- 電気工事施工管理技士1級・2級
(技術士の第二次試験にて電気電子、建設部門又は総合技術監理部門(選択科目が電気電子又は建設部門)に合格した者は学科試験免除、実務経験要) - 労働安全コンサルタント(技術士部門別による一部学科試験の免除)
信用を得るメリット “技術士は日本が認めたエンジニア”
前述した建設部門におけるメリットや他の資格試験での免除については直接的なメリットです。
一方で技術士資格の最も有益な部分はその信用力の高さです。
技術士資格の一番のメリットがこの”信用力”であり、その信用の高さによる副次的なメリットが非常に大きいのです。
技術士は難易度の高い”国家資格”
技術士資格は国家資格です。
国の法律(技術士は技術士法という法律)に基づいて判定され、認められている資格です。
これは日本という国が
「この人物はエンジニアとしての知識・経験・資質を持っている」
と対外的に証明しているという事になります。
その難易度は高く、一次試験から論文形式の二次筆記試験、面接による口頭試験を経て2年程度の期間を要します。
また試験においては技術的な知識だけでなく、エンジニアとしての倫理、資質も問われます。
面接においても確認がなされます。
実際のエンジニアリング実務経験も7年(一次試験合格から4年でもOK)が必要です。
こういった厳しい試験であるがゆえに技術士の信用度は高いです。
技術士は日本という国に認められた実力を持つエンジニア
技術士の英語名は「Professional Engineer」といいます。
文字通りプロのエンジニアですね。
つまり技術士Professional Engineerを名乗ることは、対外的に「この人物は日本という国に認められた、知識・経験・資質を持ったエンジニアである」と世界に向けて名乗ることを意味します。
日本という国が外国に対しても
「この人物はProfessional Engineerである」
と証明している資格なのです。
日本のエンジニア資格においては最高峰の信頼度であることがわかります。
ちなみに技術士の資格を取得すると、国家資格ですので名刺に「技術士」と記述することができます。
社内での昇進、昇格、昇給のメリットについて
技術士資格に対して社内の評価体系に昇進や昇格のアドバンテージを設けている会社も多く存在します。
例えば”博士課程修了と同等”と評価している会社もあります。
また社内における昇格の加点要素の一つとしている会社もあったり、技術士資格を取得している人に対して「資格手当」を支給している会社もあります。
資格取得時に一時的に奨励金が支払われる場合もメリットですが、手当として継続性を持って支給される会社なら給与面においてもかなり優遇されていますね。
直接的な優位性がなくても昇進・昇格になる場合がある
一方で昇進・昇格における優位性について、明確に会社の社内規定や評価基準に盛り込んでいない場合でも優位となる場合があります。
技術士という資格は国家資格なので、客観的に社外の視点から見ても「エンジニアとしての知識・能力・資質」を持っていることが保証されています。
このような 「偏りや好き嫌いの無い客観的な評価」 はその会社に限定されたものではなく、「どこの会社へ行っても保証される能力」として評価指標となります。
もしも社内で同じような評価となる人物二人以上について昇格させるか迷った場合、「客観的に社外評価も高い人材」が選ばれやすい事は明白です。
転職や就職におけるメリット
そもそも技術士資格って転職に有利なの?
転職において技術士資格が有利かという疑問を持っている人も多いと思います。
結論から言うと、その信頼性の高さによって転職にも有利であると考えています。
対外的に「技術士を名乗ることができる」という点において非常に大きなメリットがあります。
建設業界は直接的なメリットがある
建設業界における転職においては、冒頭の説明の様に「技術士資格保持者が社内にいると企業側にメリットがある」ことから重宝されることがわかります。
「技術士資格保有者優遇」と明確に募集をしている場合も多くあります。
また給与など待遇の交渉についても非資格保持者よりも好条件を狙えます。
技術士資格の信頼性の高さによるメリット
建設業界だけでなく一般的な転職において、技術士資格の優位性があるのがこの「技術士資格の信頼性の高さによる優位性」です。
技術士資格を持っている人は、
エンジニアとしての知識・能力・資質を持っており、信用に値する人物である
ということを「日本という国が証明している」という意味です。
つまり「対外的に一定レベルの実力を持ったエンジニアである」という事が客観的に証明されていることから、転職においても相手に信用してもらいやすいメリットがあります。
企業の採用担当者側に ”採用した理由” を持たせることができる
転職の際に履歴書の取得資格欄に「技術士」の記載があれば、採用担当者はほぼ必ずこのような質問をするはずです。
「技術士というのはどのような資格ですか?」
「どういった経緯、考えで取得したのですか?」
その時にハッキリと自分が技術士としてどういう人間かを熱量を込めて語ることができれば、採用担当者の印象に大きなアドバンテージを与えることができます。
また採用担当側の気持ちとしても「採用することの理由付け」を持ってもらうことができます。
採用担当者にとっても数回の面接によって”相手のエンジニアとしての技術レベルを把握する” ことは至難のワザです。
採用担当者は候補者を見定めながら「採用するための理由、採用に至る根拠」を探しています。
よく社内でこのような話、聞きませんか?
「人事部はなぜあんな人を採用したの?」
「人事部は何を見てるんだろうね」
また採用候補者をある程度絞り込んでから役員に面接させる場合、面接内容がうまくいかない場合や会社側と採用候補者のマッチングしない場合など、このように言われてしまう可能性もあります。
「また人事がどこの馬の骨かわからんヤツを連れてきた」
このように言われてしまっては採用担当者自身の評価にも影響してしまいます。
そのため、採用担当者も選出した根拠となる裏付けがあると、社内での話が進めやすく推薦しやすいのです。
今回の候補者は技術士資格を所持しており、一定水準の技術的考察力、課題解決力が備わっていることが見込めます。
このように「国家資格である技術士資格を持っている」ことによって、初対面でも信頼性において大きなアドバンテージを得ることができます。
技術士を名乗ることで “自信の醸成と自己アピール” ができるようになる
技術士は自らが果たすべき3つの義務と2つの責務を課せられています。
これは「3義務2責務」といって技術士法に定められています。
ちなみにこの3義務2責務は一次試験や面接試験でも必須中の必須項目でこちらのブログ記事で詳細を紹介しています。
技術士は自分が技術士と名乗ることでこれらの義務と責務を負わなければならず、
「技術士としてふさわしい業務を行うべき」
という自覚を持っています。
この技術士としての自覚を持つことで「エンジニアとしての自信」も生まれます。
これは現職にも好循環となるだけでなく対外的な自信、自己アピールにもつながります。
転職における面接試験においては、
「自分がどのようなエンジニアであるか」
「自分がエンジニアとしてどのような自信を持っているか」
これらを熱量を持って語ることができるか、アピールすることができるか非常に重要です。
技術士を名乗ることで 転職活動においても “自信の醸成と自己アピールができる” ようになるのです。
ちょっと転職について補足しておきます。
現時点で既に転職活動をしようと考えている人は技術士の資格取得ではなく、転職活動をしましょう。
当ブログ記事ではあくまで「技術士資格を持っていたら転職にも有利」という話をしているので、転職を有利に進めるためにまずは技術士資格を推奨するものではありません。
独立、起業も可能 定年後に自分のペースで仕事ができるメリット
独立開業している技術士で最も多いパターンが、定年まで企業に勤めていて定年退職と同時に技術士事務所を立ち上げて独立開業するパターンです。
定年まで築き上げた人脈や知識・実務経験が生かせる分野が適しています。
技術士の独立開業についてはこちらのブログ記事にて詳しく書いています。
→ 独立開業した技術士はどのように仕事をしている?【どんな働き方?】
もちろん独立開業するからにはエンジニアとしての能力だけでなく、「一人で事業を継続していく能力」が必要となります。
ただし目標とする収入や事業規模(例えば一人コンサルティング事務所でマイペースでOK)など、定年後に自分で無理せずにペースを決めながら進められることは非常にメリットが大きい部分です。
「技術士の資格なんて意味ない、役に立たない」とよく言われる理由
ここまで技術士資格のメリットについて網羅してきました。
一方で技術士資格はこのようなことをよく言われています。
「技術士って実際には意味ないよね」
「資格だけを持っていても役に立たないよね」
これらの意見について、なぜ「意味ない」、「役に立たない」と思われてしまうのか、その理由について考えてみました。
技術士は名称独占資格
技術士資格は国家資格ですので、医師、弁護士、看護師のように国の法律(技術士は技術士法という法律)に基づいて判定され、認められています。
一方で技術士資格は医師や看護士、弁護士のように業務を独占できる資格(業務独占資格)ではありません。
「資格を持っている=その職業に就くことができる、業務遂行してもよい権利」となっている資格が業務独占資格です。
医者や看護師の免許がないと医療行為をしてはいけませんよね。
「技術士だけができる仕事」というものはありません。
これは技術士資格を「ただ持っているだけ」ではお金を稼ぐことが難しい事を意味しています。
この業務独占資格ではない事が「技術士って役に立たないのでは?」と言われる大きな理由です。
知名度が低い→意味がない、となっている
そもそも「知っている人が少ない」という点において、不利であると言われています。
よく知らないから意味がないと思われてし待っている状況です。
でもそれって本当にそうでしょうか?
「技術士ってどんな資格?」という相手に対して「技術士の資格を持ってます」と言ってもメリットが無いでよね。
そもそも「技術士資格を知らない人」って技術士にメリットを与えてくれる人ではないんです。
例えば転職の際には、建設業界や製造業などの企業や基礎研究や教育関連組織などエンジニアの採用担当者はほぼ知っているはずです。
一方で営業職や不動産、接客業などの採用担当者の場合、
「技術士資格って何? 意味あるの?」
となる人が多いはずです(だから良い/悪いという意味ではなく”分野が違うから知らない”という意味です)。
技術士資格を持っていたら、それを発揮しようとする分野はエンジニアリングや教育関連で「技術士資格を発揮できる分野」です。
だから一般的な知名度ってそれほど重要ではないと思います。
正月に親戚で集まった時や同窓会では自慢できない資格なのでそれは覚悟しておきましょう笑。
「技術士の資格を意味あるものにする、役に立てるか」は自分次第
先にメリットとして挙げた社内での昇進や他の会社への転職、独立など、「エンジニアとして生きていく人生の中での起こりうるイベント」です。
人によっては巡り合わないイベントもありますが、大きく関わる可能性だってあります。
社内の昇進や昇格については多くの人が関わりますよね。
転職や独立については半分くらいの人でしょうか。
勤務先の企業の経営が行き詰まり、転職を余儀なくされる可能性も珍しくありません。
でもその「備え」「武器」を持つことで現状の判断や行動に一貫性と自信を持つことができます。
エンジニアとして生きていく上で、”これらのイベントがうまくいくかどうか” は対外的な評価で優位になれるかが大きいと思います。
そこで技術士という資格を生かすことができるか(メリットあるものにできるか)は結局自分次第とも言えます。
私の場合は「生涯エンジニアとして自信を持って継続的に活動したい」という思いから技術士資格を取得しています。
生涯エンジニアなら技術士資格は大きな武器になる
すぐに転職する、起業するかは別として、
「転職するかどうかはわからないけど、生涯エンジニアとして生きていく」
「エンジニアとして一定の水準であることを自他ともに確実なものとしたい」
「エンジニアとして社内外で信用を得たい」
「エンジニアとして自信が欲しい、裏付けが欲しい」
「どこで働くにしてもプロのエンジニアになりたい」
→ だから技術士になりたい
ということであれば、自己のキャリア感も一貫しており、技術士資格を取得した後で転職するにしても転職活動は有利に運ぶはずです。
また将来的にスキルが伴ってくれば技術士事務所を開業することだって可能です。
早いうちから準備を進めておけば、役職定年や早期退職など自分に有利なタイミングに合わせて起業することも可能となります。
一般企業にいる間に技術士資格を取得し、定年後に技術士として起業する人もいます。
それぐらい強い動機付け、熱量があれば、試験合格後(実際に転職、独立開業するかどうかは別として)、その先の長いエンジニア人生は現在よりも充実したものにできると思います
ここまで読んで「技術士になってみたいな」と思った人はすぐに”行動に移す”ことをおすすめします。
こちらのブログ記事では他にも技術士の最初の登竜門である一次試験に必要なことについて網羅してまとめています。
→ 技術士一次試験対策 やること総まとめ【独学者必見】
技術士への最初の登竜門となる一次試験に臨むにあたり、購入した方がよい参考書や教科書について下記の記事にまとめています。
→ 技術士一次試験 基礎・適性科目おすすめ参考書【1冊でOK】】
早速ロケットスタートしましょう!!
以上、「技術士資格のメリットについて」でした。
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