当ブログ記事では技術士資格試験の合格率について、一次試験・二次試験、口頭試験それぞれについて書いています。
技術士の合格率を一次・二次試験、部門別で分析
「技術士は難易度が高いと聞くけど合格率ってどれくらいなの?」
「一次試験・二次試験それぞれ合格率はどれくらい?」
「噂ではなんだか難しそう」
そんな疑問に答えるべく技術士試験の合格率について集計、整理したので公開します。
「なんだか難しそう」という“モヤっとしたよくわからないモノ” を分析して具体的な数値で見える課題にして把握しましょう。
そうすれば何に注力すればいいのかがわかってきます。
具体的な課題に対して対策を決めてスケジュール通りに進めることで「案外イケるかも」となることも多いのです。
早速ですが一次試験と二次試験の合格率について、直近5年分のデータを表にしました。
元データは日本技術士会Webサイトで発表されてます。
年度 | 一次試験 | 二次試験 |
---|---|---|
令和2年度 | 43.7% | 11.9% |
令和元年度 | 51.4% | 11.6% |
平成30年度 | 37.8% | 9.1% |
平成29年度 | 48.8% | 13.3% |
平成28年度 | 49.0% | 14.6% |
ここからは各試験の合格率について、ひとつづつ見ていきましょう。
こちらのブログ記事では技術士資格の難易度について、合格率以外にもさまざまな視点から分析しています。
→ 技術士の難易度は?”難しい理由”を対策して合格可能性を上げよう
技術士一次試験の合格率【最初の登竜門】
一次試験の合格率は直近5年では37.8~51.4%となっています。
おおよそ4割前後が合格ということですね。
6割程度の不合格の中にはおそらく
「会社に受験しろと言われたからとりあえず受けてみた」
「勉強開始したタイミングが試験直前で来年を本番として今年は練習」
といった人も一定数含まれているハズです。
そんな風に考えてみると “しっかり勉強して一次試験に臨んだ人の半分近くが合格している” と読み取ることができます。
技術士試験は難しいと言われていますが一次試験は結構イケそうな気がしませんか?
一次試験についてはこちらのブログ記事で必要な事をすべて網羅しています。
ぜひ参考にしてください。
→ 技術士一次試験対策 やること総まとめ【独学者必見】
技術士二次試験の合格率【技術士が難しいと言われる理由】
続いて二次試験の合格率です。
二次試験の合格率は直近5年では9.1~14.6%となっています。
合格できるのはおおよそ1割くらいといった印象です。
一般的に “技術士試験は難しい” と言われている理由が “二次試験の合格率の低さ” によるものという事が実感できると思います。
よって技術士試験に合格するためには “いかにして二次試験を突破するか” について注力して考える必要があります。
二次試験についてはこちらのブログ記事で必要な事をすべて網羅しています。
→ 技術士二次試験 筆記論文・口頭対策 総まとめ【独学者は必見】
二次試験のおすすめ通信講座の2つの講座について比較しています。
→ 技術士二次試験おすすめ通信講座2つを比較【コスト重視か添削回数か】
口頭試験の合格率はどれくらいか【最後の難関の難易度は?】
二次試験は筆記試験と呼ばれる論文を書く試験と面接形式の口頭試験があります。
口頭試験は二次筆記試験に合格しないと受験できません。
先ほどの二次試験の合格率は “二次試験を受験した人数” と “最終的に口頭試験を合格した人数” によって算出されているため、筆記試験(論文)が難しいのか口頭試験が難しいのかわかりません。
そこで口頭試験の合格率について調べてみました。
二次試験の筆記試験の部門別合格者発表(受験番号の発表)が日本技術士会Webサイトで発表されているので、筆記試験の合格者人数を数えてみました。
(もしも数え間違いがあったらスミマセン)
令和2年の口頭試験の合格率を集計した結果がこちらです。
算出した計算式はこちらです。
口頭試験合格率 = ( 二次試験合格者数 / 二次 筆記試験合格者数) %
部門 | 二次 筆記試験合格者数 | 二次試験最終合格者数 | 口頭試験合格率 |
---|---|---|---|
機械 | 185 | 140 | 75.7% |
船舶・海洋 | 3 | 3 | 100% |
航空・宇宙 | 8 | 7 | 87.5% |
電気電子 | 134 | 123 | 91.8% |
化学 | 30 | 29 | 96.7% |
繊維 | 11 | 9 | 81.8% |
金属 | 31 | 19 | 61.3% |
資源工学 | 3 | 3 | 100% |
建設 | 1333 | 1214 | 91.1% |
上下水道 | 203 | 181 | 89.2% |
衛生工学 | 35 | 32 | 91.4% |
農業 | 66 | 63 | 95.5% |
森林 | 61 | 61 | 100% |
水産 | 14 | 13 | 92.9% |
経営工学 | 22 | 22 | 100% |
情報工学 | 28 | 23 | 82.1% |
応用理学 | 89 | 82 | 92.1% |
生物工学 | 9 | 9 | 100% |
環境 | 56 | 52 | 92.9% |
原子力・放射線 | 6 | 6 | 100% |
総合技術監理 | 341 | 324 | 95.0% |
全体 | 2668 | 2415 | 90.5% |
口頭試験の合格率はおおよそ90%前後となっており合格率は高いことがわかりました。
この結果から二次試験で難易度が高いのは口頭試験ではなく、筆記試験(論文)であると言えます。
興味深い結果として人数が極端に少ない部門については口頭試験で100%近く合格となっていることもわかりました。
受験者数が少ない部門はその部門の技術士自体が少ないと言えるので、技術士を増やしたい→なるべく合格させたいというバイアスがあるのかもしれません(想像です、、私が運営側ならそう思います)。
他の国家資格と比較して合格率はどうか
技術士は国家資格ですが他の国家資格と比べて合格率がどうなっているのでしょうか。
検索を掛けて調べてみると、合格率が低いのは司法書士や公認会計士で3~5%くらい。
次いで社会保険労務士が5~7%くらい。
弁理士や1級建築士は10~12%くらいでした。
サイトの掲載情報や年度によってもばらつきがあるので一概には言えませんが、同じ専門職系の国家資格としては弁理士や1級建築士と同じくらいの合格率となっています。
難易度の目安として弁理士や1級建築士と同じくらいと考えてよさそうです。
部門別の合格率にも差がある【自分の受験部門を確認しよう】
先ほどの口頭試験の部門別結果から部門によって合格率に差があることがわかりました。
同様に一次試験と二次試験について部門別に見てみます。
一次試験の部門別合格率
令和2年度の一次試験について、部門別の合格率がこちらです。
部門 | 一次試験合格率 |
---|---|
機械 | 55.8% |
船舶・海洋 | 58.3% |
航空・宇宙 | 45.8% |
電気電子 | 48.3% |
化学 | 58.0% |
繊維 | 59.0% |
金属 | 50.5% |
資源工学 | 66.7% |
建設 | 39.7% |
上下水道 | 41.8% |
衛生工学 | 46.9% |
農業 | 39.2% |
森林 | 32.8% |
水産 | 39.1% |
経営工学 | 52.6% |
情報工学 | 65.0% |
応用理学 | 29.1% |
生物工学 | 25.0% |
環境 | 39.4% |
原子力・放射線 | 68.6% |
全体 | 43.7% |
令和2年度は全体として43.7%の合格率となっています。
部門別の差としては、最も合格率の低かったのが応用理学部門29.1%、最も合格率が高かったのが原子力・放射線部門68.6%となっています。
思っていたよりも差が大きいと思いませんか?
二次試験の部門別合格率
令和2年度の二次試験について、部門別の合格率がこちらです。
部門 | 二次試験合格率 |
---|---|
機械 | 18.3% |
船舶・海洋 | 50.0% |
航空・宇宙 | 17.9% |
電気電子 | 12.9% |
化学 | 24.4% |
繊維 | 22.5% |
金属 | 35.8% |
資源工学 | 21.4% |
建設 | 10.3% |
上下水道 | 14.6% |
衛生工学 | 7.6% |
農業 | 10.6% |
森林 | 25.8% |
水産 | 13.4% |
経営工学 | 11.8% |
情報工学 | 7.6% |
応用理学 | 16.4% |
生物工学 | 27.3% |
環境 | 13.6% |
原子力・放射線 | 13.6% |
総合技術監理 | 12.5% |
全体 | 11.9% |
二次試験の合格率は全体11.9%となっており、一次試験の結果と反対にかなり厳しい結果となっています。
部門別の差としては、最も合格率の低かったのが衛生工学部門、情報工学部門が7.6%、最も合格率が高かったのが船舶・海洋部門でナント50.0%となっています。
部門間の合格率の差はけっこう大きいのですね。
受験者数が少ない部門については年度によって “ばらつき影響(その年度の受験者の優秀さ、問題の難しさ、口頭試験の厳しさetc)” を受けやすいと思います。
もしも自分の受験部門の受験者数が極端に少ない場合は合格率が低くても悲観しないでおきましょう。
例年受験者数が多い建設、上下水道、機械部門は他部門よりは突発的な変動が少ない傾向になると思います。
自分の受験部門を確認しよう
部門別に合格率について差があることは上記の通りですが、この差が数年の傾向があるかどうかが重要です。
自分の受験部門について直近3年分でもいいので確認して傾向を掴んでおきましょう。
受験部門について悩んでいる人は、こちらのブログ記事で部門の選び方を紹介しています。
→ 【部門が選べない人へおすすめ】技術士 部門の選び方
例えば自分が “船舶の設計者” であった場合、設計者として機械部門を受験するか船舶の専門家として船舶・海洋部門を受験するか迷っている場合について考えてみます。
令和2年度の二次試験の合格率を見ると機械部門18.3%、船舶・海洋50.0%となっています。
この年はおそらく船舶・海洋部門の方が合格しやすかったと言えます。
つまり悩んでいた部門選択に際して”合格率” だけでみれば、船舶・海洋部門を選んでいた方が合格の可能性が高かったと言えます。
実際には自分の将来や名乗りたい専門性を第一に部門を選ぶべきなのですが、傾向を知っておくだけでも判断を助ける材料になるので自分の受験部門については直近3年分について把握しておきましょう。
技術士の合格率について【まとめ】
それでは最後にざっとまとめておきます。
- 一次試験の合格率は直近5年で37.8~51.4%
- 二次試験の合格率は直近5年では9.1~14.6%
- 令和2年度の口頭試験の合格率はおおよそ90%前後
- 技術士試験が難しいのは二次試験における筆記試験(論文)試験の合格率が低いから
- 一次試験・二次試験ともに部門別に合格率に差があるので直近数年について傾向があるか見ておくとよい
以上、合格率についての分析でした。
自分の受験する部門については直近3年程度の傾向について把握しておくと心の準備ができるのでおすすめです。
こちらのブログ記事では技術士資格の難易度について、合格率以外にもさまざまな視点から分析しています。
→ 技術士の難易度は?”難しい理由”を対策して合格可能性を上げよう
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